クレーマー

(ポニー・智光山公園こども動物園、by T.M)

読売新聞 3/9

各地の自治体で職員が身につける名札の表記をフルネームから名字のみに変更する動きがある。SNSの普及で、嫌がらせ目的で名前をネットに書き込まれるなどの懸念からだ。実際に職員名をかたる偽アカウントで物議を醸す投稿をされ、役所に苦情が寄せられるケースも出ている。

 芸能人のスキャンダルを「バカすぎて滑稽」と評したり、政治家の不祥事に「在日を選ぶからこんな事になる」とコメントしたり。香川県観音寺市の実在する職員の名前を使ったX(旧ツイッター)のアカウントが、こんな投稿を続けている。

 市が一連の投稿を把握したのは昨年10月頃。芸能界の性加害問題を巡り、第三者を傷つける内容が書き込まれ、投稿を見た人から「公務員がこんな書き込みをしていいのか」と市に苦情のメールが5件届いた。

 市の調査に対し、本人はXでの発信を否定。同じ時期にこの職員の対応に苦情のメールがあったことや、同様のアカウントが複数つくられていたことから、市は第三者が嫌がらせのため、なりすまして投稿したと判断した。

市は昨年11月、ホームページで職員と無関係のアカウントであることを周知。さらに他の職員でもトラブルが起こる可能性があるとして、3月から約1100人の職員の名札表記をフルネームから名字のみに変更した。

これは観音寺市としては当然な措置でしょうね。おかしな人が世の中にはいます。

今から20年前にT労働基準監督署に勤務していた時に、酷い相談者にあったことがあります。何を理由に監督署に恨みを持ったかは分かりませんが、初老の男性Aがクレーマーとなりました。その人は完全に狂人でした。「東京大学医学部卒」と記載された名刺を持ち歩き(もちろんデタラメ)、季節の変わり目ごとに騒動を起こしました。例えば、監督署のそばに「監督署の××に天誅を加える」という張り紙をしたり、Yスタジアムの前で「T監督署ではセクハラが行われている」とのビラを撒かれたりしました。これら事件の犯人は不明ですが、監督署近くの張り紙事件の時は、その時間帯にAが目撃されていますし、Yスタジアム事件のビラも張り紙も文字は手書きで、よく似たものでした。

また、春先にはよく監督署に苦情の電話がかかってきました。

「今電話で、お宅の職員の〇〇という者から電話がかかってきて、調査ということで色々なことを聞いてきたがとても失礼な奴だった。そいつを出せ」

その電話をくれた方に、「監督署はそんな調査をしていないし、〇〇という職員もいない。それは監督署の名を騙ったイタズラ電話である」という説明をするのに大変でした。これもまた、確証はありませんが、「初老の男」ということでAである可能性が高いものでした。

極めつけは「トイレ事件」です。T労働基準監督署の事務室は2階にあり、1階は会議室で、業務がある時以外は1階は使用していません。ある時に、1階にAがうろついていたという目撃があったので、1階に行ったところAは既に去った後でした。そして、男女共用の身障者用トイレの床と壁に「ウンコ」が擦り付けてありました。相当の丁寧に擦ったらしく、タイルの溝にまで塗りこめられていました。

さて、冒頭の新聞記事についてですが、Aのような者だったら、確かにこんな事件を起こすなと思いました。Xの配信者については、ぜひ刑事事件まで持っていって欲しいと思います。

高校生のアルバイト

(大雄山最乗寺の紅葉、by T.M)

ウォーカープラス 2/3

ペン助がいつものように駅にいると、1組の親子がやって来る。そして、母親が「バラ駅から乗って来たんですけど、この子に切符を持たせたらなくしちゃったみたい」と説明する。

ペン助は規則通り「紛失したときは再収受しますので250円ですね」と伝えると、母親は驚いた顔をして「子どもなんですよ!?仕方ないでしょ!!大人の私が無くしたなら払いますがね!!」と文句を言うではないか!?

けれど、そもそも子どもに切符を渡したのは母親本人のはずだ。ペン助は「だったらあなたが責任を取るべきでしょ?」と言うと、母親はひたすらギャーギャー文句を言い続ける。そして、翌日本社にクレームの電話がかかってくるのであった…。

笑ってしまいました、この話。でも、よくあるあるです。労働基準監督署でも似たようなことが起きます。

高校性のアルバイトで、「子供がコンビニでアルバイトをしていたら、数回の遅刻と、1回の無断欠勤をしたら解雇された。不当解雇だ。」と言ってくる親がいました。「無断欠勤や、常態としての遅刻は十分に解雇理由になる」と説明しても、「高校生なんだから仕方がないだろ」と言うばかりです。

職場内で事業主による不法行為、あるいは同僚からの「イジメ」等があったのか確認したところ、どうも違うようです。勤務する時間帯を間違えていた、等のこともありませんでした。体調が悪かったのか確認したところ、「疲れていた(と本人は主張)、連絡をいれずに欠勤」したそうです。

(注)18歳未満の労働者について、まだ肉体的に大人になっていないことを理由に「危険・有害業務が成年者と比較して規制されている」ことはあっても、事業主・使用者間における権利・義務については、年齢に関係ない。例えば、「最低賃金」が「未成年を理由にして」減額されることはない。

そこでその親に、無断欠勤は労働契約における契約違反であり、高校生だからといって、契約における義務がなくなることもなく、事業主側が行う賃金不払いと同じものに当たると説明しました。また、「その契約違反によって、会社側が損害を受けた場合、例えば無断欠勤した労働者の代わりに、その労働者より賃金の高い労働者を使用しなければならなかった場合には、その差額を無断欠勤した労働者が支払わなければならないケースもある。」と話をしたところ、その親はますます激高し、挙句の果てに「厚生労働省に文句を言う」と捨てゼリフを言って帰って行きました。

まあ、こんな親だから平気でバイトで遅刻や無断欠勤する子供が育つのだなと思いました。

神社仏閣

(万力公園の牡鹿・山梨市、by T.M)

1/12 FNNプライムオンライン

木原防衛相は12日、陸上幕僚副長など数十人が靖国神社を集団で参拝したことについて、防衛省内の通達に違反する可能性があるとして、事実関係の調査を進め、違反が認められた場合には厳正に対処していく考えを示した。

陸上幕僚監部ナンバー2の小林弘樹副長は1月9日、陸上自衛隊の航空事故調査委員会のメンバーら数十人と靖国神社を参拝した。

実施計画を定めた上、小林副長を含む複数の関係者が公用車で移動していた。

防衛省は「宗教上の礼拝所に対する部隊参拝」を禁止した事務次官通達に違反する可能性があるとして、事実関係を調査している。

木原防衛相は記者会見で、憲法が国による宗教的活動を禁じていることを指摘し、「防衛省、自衛隊においても誤解を招く行動は避けなければならない」と述べた上で「事務次官通達に違反する疑いがあることから事実関係を確認させている。

今後、判明した事実関係に基づき厳正に対処していく」と強調した。

陸上自衛隊の幹部自衛官などが集団で靖国神社を参拝したとして、防衛省は組織で宗教の礼拝所を参拝することを禁じている事務次官通達に違反する可能性があるとして、調査すると発表しました。

防衛省によりますと、靖国神社を参拝したのは陸上自衛隊の航空事故調査委員会の関係者など数十人で、陸上幕僚副長を務める小林弘樹陸将など幹部自衛官も含まれています。

スミマセン、私も労働基準監督官の現役時代に憲法違反をしていました。公用車を使用して、神社仏閣に参拝に行ってました。

年初めには、管轄内の建設業協会の方や、地場産業の方と一緒に、管轄内の神社に行って、1年間の安全祈願をしました。私以外にも、当然労働基準監督署長は行くし、局長が来ていたこともありました。管内に有名な神社がなくて、仏閣がある場合はそちらに参拝に行くこともありました。

年初めじゃなくても、死亡災害が続いた後で、ヒラ監督官だった私と署長が2人で参拝に行ったこともあります。さすがにこの時は、官用車ではなく、なにかの業務のついでに行った覚えがあります。管内で死亡災害が続くのは、管轄する行政官庁が無能だからと言われてしまえばそれまでですが、その時は、「これ以上もう災害は起きないでくれ」と藁にでもすがる思いでした。

さて、上記の記事ですが、「陸上自衛隊の航空事故調査委員会」の人が、「航空安全祈願」を神社に行ったっていうことのようですが、許しってやって欲しいと思います。「自衛隊」と「靖国神社」っていうと、色々微妙な問題もあるから、別の神社にしておけば良かったかもしれないけど、上司が部下の安全祈願をするって、情状酌量の余地があるんではないでしょうか。。

現役の時に、神社仏閣に行ったことについて、私は後悔していません。反省する点としては、そういえばキリスト教系の教会にお参りに行かなかったことぐらいです。イスラム教系の寺院については、よく分からないんですが、安全祈願などで訪問したら、それは受け入れてもらえるのでしょうか・・・

JAL機事故

(ビッグアップルと富士山・山梨県立美術館、by T.M)

明けましておめでとうございます。今年も、よろしくお願いいたします。

新年早々から、大変な日々が続いています。元日に北陸地方で東日本大震災を彷彿させる大地震・津波が発生し、その翌日には北陸地方に支援物資を届けるはずの海保の航空機が羽田空港でJAL機と衝突しました。JAL機の乗客・搭乗員は無事でしたが、海保の職員5名が殉職されたことは、皆さんご存知のことだと思います。

私は、安全コンサルタントとして、今回の海保・JAL機の衝突事件について、思うところを書きます。なお、これから書くことは、今後新たな事実が発見されることによって、後日訂正が必要になるかもしれません。

東日本大震災の時に、現地に、仕事として行ったことがありますが、今回の北陸派遣について、被災した海保の職員の方たちは、心に期し現地に向かったと思います。それが今回の事故により挫折し、御本人様は元より、ご家族・関係者の方々の無念さはどれほどのものかと思われます。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。

今回の事故は、概要は単純です。離着陸に使用される滑走路で、本来ならば時間差でその業務を行わなければならないのに、海保の航空機とJAL機が同時に存在したことにより、衝突事故が発生したものです。その原因として、まず第一に考えられるのが、ヒューマンエラーです。ヒューマンエラーを引き起こした者としては、次の3者が考えられます。

  • JAL機の機長
  • 海保の機長
  • 管制官

多分、今後はこの3者の責任問題が浮上してくるでしょう。もしかしたら、刑事事件にまで発展するかもしれません。しかし、ヒューマンエラーについて、それほどきつく対処することについては、私は反対です。なぜならば、人は必ずヒューマンエラーをするものだからです。叱って、ヒューマンエラーを防止できるなら、とっくにそんなものなくなっています。

では、ヒューマンエラーに人はどう対処すれば良いのでしょうか。

まずは、ヒューマンエラーをなくす個人的な努力が必要です。ひとつは訓練です。そして、飲酒や高齢による注意力の低下を考慮することです。指差し呼称、命令の復唱等もこの範疇に入ります。

次に複数の者のチェックです。一人の人間が100回に1回ヒューマンエラーをするとしたら、ダブルチェックによって、100の2乗の10000回に1回までエラーをなくせます。3人によるトリプルチェックでは、1000000回に1回にまで、確率が下がります。今回の事故の原因究明については、その複数チェックがどうなされていたかが焦点になると思います。

最後に、機械的な安全装置がどう動いたのかが問題となります。専門用語では、フェール・セーフとかフールプルーフとか言うのですが、これはどうだったんでしょうか。滑走路に誤進入を防止する目的で滑走路手前に設置されている「ストップバーライト(停止線灯)」が事故当時、メンテナンス中で運用を停止していたそうです。もし、これが本当だとしたら、とんでもないことだと思います。国土交通省によると、「使用基準には該当していなかった」等の言い訳をしているそうですが、

この機械を使用していれば、今回の事故はなかった

ということになれば、私は最大の事故責任は

安全装置を外して、機械(滑走路)を使用させた

空港管理者であると思います。今後の調査に期待します。

TDL

(オンブバッタ・山梨県清里、by T.M)

12/26 時事通信

東京ディズニーランド(TDL、千葉県浦安市)でキャラクターの着ぐるみを着てショーなどに出演していた元契約社員の30代女性が、神経や血流障害により肩や腕が痛む「胸郭出口症候群」を発症したのは、運営会社の安全配慮義務違反が原因として、「オリエンタルランド」に損害賠償を求めた訴訟の判決が26日、千葉地裁であった。

 岡山忠広裁判長は請求を棄却した。

 訴状などによると、女性は2015年2月に入社し、重さ10~30キロの着ぐるみを1日3~6時間ほど着用してショーやパレードに出演。17年1月に胸郭出口症候群と診断され、同年8月に労災認定された。

 女性側は、トレーナーに上半身の痛みやしびれを複数回訴えたが、会社側はそのまま業務を継続させたなどと主張した。岡山裁判長は、トレーナーは外部の委託業者だったとして「会社への申告と同一視できない」と指摘。業務軽減が必要なほどの痛みだったと会社側が認識できたとはいえないと結論付けた。

TDLの着ぐるみを着た労働者の労災については、今年の3月に地裁で判決がでて、会社側が負けて、確か高裁に控訴中だと思ったら、この判決です。よくよく、調べて見ると別の事件でした。ということは、TDLは複数のこのような裁判を抱えているということでしょう。だとしたら、この判決理由については解せないものです。

労災発生の状況に違いがあるといっても、同じ労働をしていたものが何人も事故を起こすということは、

着ぐるみをきて行う業務

については、災害の発生の可能性が高いということになります。それなのに、記事の中にあるように、「労働者が異常を報告したトレーナーが外部の委託業者だったから会社側が認識できなかった」ということは、それでは危険な作業に従事する労働者は、誰に異常を報告したらよかったのかということです。

この論法が通じてしまうなら、会社組織をよく知らない契約社員が、体調の不良を自分の業務を管理している者に訴えたとしても、会社は「体調不良を訴えた相手が自社の社員でないので、自分たちは知らなかった」として、逃げてしまいます。

そもそも、この「トレーナー」という方はどんな立場なのでしょうか。TDLと労働契約を結ぶ労働者が、「業務を起因とした体調不良」を外部の委託業者に報告していることが異常なことです。

事実関係がよく分からず、判決の当否については判断できませんが、裁判所はその当たりを突っ込んで欲しいし、報道ももっと詳細なものが知りたいです。

さて、本日は大晦日。みなさん、よきお年をお迎え下さい。来年も本ブログをよろしくお願いします。