最高裁判決、同一労働同一賃金

(コットンハーバーとみなとみらい、by T.M)

BTSの良さが分かりませんでした。何でビルボードの1,2位を取れるのでしょうか?

でも、街中で彼らのダンスを真似している中学生を見ていて、何となくBTSの人気の理由が分かる気になりました。その中学生たちは、40年以上前に、ピンクレディーの振り付けを真似していた私の友人とそっくりです。

BTSは、歌だけではなくダンスという手法を使って自分たちを表現しています。テレビでピンクレディーを見るしかできなかった私たちの世代と、ユーチューブ等でいつでもダンスと歌を鑑賞できる世代では、自ずとアートに対する評価が違ってくるのでしょう。

落語とジャズを愛する世代は、もはや絶滅危惧種なのです(でも、私はジャズと中島みゆきが好きだ)。

先週、非正規職員に対する「賞与」及び「退職金」の不払いについて、最高裁が3つの事件(それぞれ違う会社)について判決を出しましたが、事案ごとに原告側(非正規労働者側)の勝訴と敗訴に分かれました。このことを少し考えてみたいと思います。

原告敗訴の事案については、原告の働き方が、様々な理由により正規職員と「同一労働」ではないと判断されたもので、原告敗訴であっても「同一労働同一賃金」の原則が否定された訳ではありません。また、今回は旧法(労働契約法第20条)の違反を問うたもので、新法(パートタイム労働法第8条、9条)の違反の有無を決定したものではありませんので、敗訴した原告と同様なケースであっても、今後、処遇改善の判決が下される可能性もあります。

今回、原告敗訴となった事案で、支援団体等のコメントをみると、「経営者側」を責めるコメントばかりでしたが、非正規労働者への不合理な取扱いについては、他にも原因があるのではないかと思いました。

非正規職員の処遇の改善がなかなかすすまない理由としては、経営者の不誠実さもそうですが、正規職員からの協力・理解が得られないことも大きいのではないでしょうか。

多くの企業(公的機関を含む)で、ここ30年間は人員削減が行われてきました。その人員削減の穴埋めに使われたのが非正規労働者でした。そして、多くの企業・役所では非正規職員なしでは仕事が回らなくなりました。

私が監督官になった30有余年前には、新人監督官が電話取りや窓口相談をしていましたが、今の監督署では非正規職員がそれを行います。非正規職員さんは「相談員」さんと、それ以外です。相談員さんは、社労士等の資格を持つ方が多く、自分の本業である社労士業と兼業されている方もいて、非常に頼りがいがあり、給与もそれなりに支払われています。そ以外の非正規職員の方は最低賃金より少し高い賃金のパート職員です。これら、非正規職員の方がいなくなれば、監督署の仕事は回りません。

しかし、監督署の正規職員は、非正規職員の方々の去就には多くは冷淡です。非正規職員が入社してきても、挨拶もなく働き始め、いつの間にか消えて行くことを経験しました。当然、職場での飲み会等にも呼ばれません。明らかに、正規職員・非正規職員の間には壁がありました。と言うより、正規職員にとって、非正規職員の労働条件なんて、総務系の者以外は関心がないのです。

職場内での労働組合での会合においても、「文句を言う、非正規職員はやめてもらってかまわない」と明言する者や、非正規職員の処遇改善は、正規職員の労働条件の低下に繋がることを懸念したりしている者がいて、驚いたこともあります。

非正規職員の数が正規職員より少ない職場において、非正規職員の処遇改善のために必要なものは、正規職員の協力です。正規職員が、非正規職員の処遇改善こそが実は正規職員自体の労働条件の改善につながることを意識しなければなりません。まあ、もっとも、正規職員どおしで人事の足の引っ張りあいだけが盛んな、役所システムでは100年たっても無理でしょう。

変化は、非正規職員が圧倒的に過半数を超える職場から始まります。今回、日本郵政所属の非正規職員が勝訴したことは、そういう意味で当然と言えば当然のような気がします。

同一労働同一賃金

(ポルシェとC56型機関車・清里駅にて by T.M)

今日、カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」を観てきました。是枝作品は、「誰も知らない」「海街diary」「三度目の殺人」等を映画館で観ましたが、やはり今回の作品が一番良いと思います。出番は少なかったのですが、柄本明の演技には泣かされました。 

さて、同一労働同一賃金の話です。先週、この問題について最高裁で2件の判決がありました。要約すると、「無事故」「作業」「休職」「通勤」等の手当については、正規雇用・非正規雇用の区別なく支払われなければならないが、「住宅手当の相違」「60歳定年後の再雇用の給与の減額」等については合理性を認めるということです。 

「60歳定年後の再雇用」については、私は「60歳時点の給与」から「ある程度減額されること」は仕方がないように思えます。(注:裁判となっている個別事件の詳細は、よく分からないので、次に書くことは一般的なケースについてです) 

なぜ「新入社員」と「退職間際の職員」では賃金額に差があるのでしょうか。「同一労働同一賃金」というなら、同じ職場にいる「新入社員」と「退職間際の職員」が同額の賃金でなくてはならないはずです。これは、私のような年寄りよりも、若者が多く思っている疑問だと思います。「退職間際の職員」は若者と比較し、ある程度有利な賃金をもらっているのですから、それを退職後の再雇用でも維持することは、世代間による格差をより広げることになります。だから、再雇用での給与の減額は、当事者にとっては悔しいことだと思いますが、ある程度社会的に容認すべきものでしょう。 

私は、労働基準監督官をしている時に、「世代間の格差」「正規労働・非正規労働の格差」「男女の格差」がまったくない業界があることを知りました。それは、「タクシー業界」です。タクシーの運転手さんの賃金は「基本給プラス歩合給」か「オール歩合」のどちらかです。基本給は、全労働者同一なものです。つまり、タクシーの運転手さんの賃金は、誰彼の区別なく、当月の売上により決定されるのです。ですから、年齢と共に仕事はとてもきつくなってくるので、経験によって運転手としての売上増加のスキルを高めるしかありません。

現役当時、一人の運転手さんとの出会いがとても印象的に思いました。その人は、タクシー運転手からタクシー会社を興し、そして自らの意志でタクシー運転手に戻った人です。その人は私にこう言いました。

「会社の役員をしていた時には、会社の支払日が近づくたびに緊張した。今は、運転手に戻ってるから楽だ。ハンドル握れば、月に50万は楽に稼げる。」

タクシー業界は長時間労働等の問題が多く、決して労働環境のいい所とは言えませんが、そんな風に働いている人もいるのだなと思いました。