週刊誌報道

(1990年式ブルーバードSSS)

週刊「新潮」が先週こんな記事を出しました。

 滞在先のニューヨークで司法試験を終えた小室圭さんは、一時帰国せずに現地で就職するという。そんな折、小室さんの母・佳代さんが長年勤めている洋菓子店でトラブルを起こし、現在無断欠勤中であることが週刊新潮の取材で分かった。

 佳代さんは現在、東急東横線沿線にある老舗洋菓子店に社員として勤務している。同店の関係者は、

「佳代さんは現在、自身が主張する“労災”をめぐって店と大揉めしています」と明かすのだ。

「6月上旬だったと思います。彼女が職場に診断書を持参して『休ませてください』と言う。聞けば数日前、夕刻の終業後に更衣室で仕事用の履物から自分の靴に履き替えようとした時、姿勢を崩してアキレス腱を痛めてしまったというのです」(同)

 実際に、勤務先の近くの整形外科医院で作成された診断書には「アキレス腱断裂」とあったという。

「ただ、誰もその時の“事故”を見ておらず、彼女がその日、どうやって帰ったのかもわからない。店としては本人の説明を聞くしかありませんでしたが、診断書を持ってきた時も、足にギプスはしていたものの、普通に歩いていたのです」(同)

「懲戒解雇ですって?」店側は6月いっぱいの休職を認めたというが、

「7月になっても彼女は出勤しませんでした。しかも無断欠勤です。店が契約している社会保険労務士の助言もあり、社長が佳代さんに連絡を取ったのですが、彼女は平然と『(自分の)弁護士から連絡がなかったですか?』などと言ってのけた。社長も堪忍袋の緒が切れて『どうして連絡をしてこないのか。本来ならば懲戒解雇になってもおかしくないんだ』と、怒りをあらわに問い詰めたのですが、佳代さんは『えっ、懲戒解雇ですって? 弁護士さんに相談します』と言い残し、電話を切ってしまいました」(同)

 その後、佳代さんの代理人から店側に連絡があったものの、社長は事故があったことを事業主として証明する書類に署名していない。今回、仮に労災が認められた場合、大まかには月給を日割りにした日給の8割が休業中は支給されることになる。現在も佳代さんは無断欠勤が続き、給料は支払われず、勤務シフトからもすでに外されているという。

私は週刊新潮という雑誌が好きです。その編集方針には敬意さえ抱いています。日本でジャーナリズムという名に値するのは、「新潮」と「文春」だけだと思ったこともあります。

でも、この記事は頂けません。「労災」のことを茶化さないで下さい。

記事からの推測ですが、被災者は事業主の協力を得ずに、所轄労働基準監督署長に労災申請をしたように思えます。

「夕刻の終業後に更衣室で仕事用の履物から自分の靴に履き替えようとした時、姿勢を崩してアキレス腱を痛めてしまった」

「目撃者はいない」

この調査の所轄監督署の労災担当の職員はとても苦労していると思います。「無理な動作によるアキレス腱断裂」の労災認定事例はありますので、現場職員は現場確認をして、被災者及び同僚、診断書を書いた医師等から事情を聴き、似たような事案がないか調べ、必要があれば外部の意見も尋ね、何度も署内会議で議論して結論を出すものと思われます。確かに、「労働者の勘違いによる労災請求」及び本当に少数ですが「労働者の悪意による労災請求」の事例はありますが、監督署の調査結果がでるまで、あらゆる論評は避けるべきでしょう。

週刊新潮は、この記事によって、被災者へマイナスの印象操作を行いたいようですが、そのようなことに労災事案を利用しないで下さい。

この記事の中から、間違っているものを指摘します。

「店側は6月いっぱいの休職を認めた」と記事にありますが、仮に労災だとしたら、「休職を認めてもらう」べきものではありません。会社側が頭を下げて「労災申し訳なかった。治るまで休んでくれ」と言うべきものです。

また、「7月まで休んでいたから無断欠勤だ」という論理も、仮に労災とするなら通りません。いつまで労災被災者の休業が必要かは、事業主が把握すべき義務があるからです。

事業主が「事故があったことを事業主として証明する書類に署名していない」ことは、このケースでは当然なことでしょう。事実関係を把握していない以上、そのようなことを認めてはいけません。でも、「労災がなかったこと」を確認したのでもないので、このことについては結論がでるまで、マスコミの取材等には今後応じない方が良いと思います。