コロナワクチンの解雇

(浜松市スズキ本社のスズキ歴史館、by T.M)

昨日の夜(8月14日・土)、このブログを書き終えてテレビ東京の「アド街ック天国」を観ていたら、とても驚きの放映があったので、このブログの最初に書き加えることにしました。

番組は横浜市の八景島の特集でしたが、その中で「中華鍋を製造している板金加工の町工場」を紹介していて、そこの作業員は、何の安全装置も使用せず、鍛造プレスで板金加工をしていました。降りてくる刃から10センチ前後のところに作業員の手があり、今にも挟まれそうな気がしてヒヤリとしました。

あんな映像を全国放送で流されることは、所轄監督署の指導不足を指摘されても仕方がないと思いました。過去にどんな臨検監督をしていたのでしょうか。

確かに、「鍛造プレス」は通常のプレスと違って法違反の指摘が難しいのだけど、あの映像をみる限り、とても危険な作業をしています。何らかの法違反はしていると思うのですが、私の勘違いでしょうか?

に、鍛造プレス作業員は「耳栓」を使用していないように思えたけど、そこも指導して欲しいです。「鍛造プレス」は金属に金属を打ち付けているのですから、ものすごい音がします。

さて、本題のブログです。先日、こんな報道がありました。

(産経新聞・8月6日)

米CNNテレビは、新型コロナウイルスのワクチン接種を求めたにも関わらず接種せずに出社していたとして、従業員3人を解雇した。米メディアが5日伝えた。再発防止のため、従業員に対し接種証明書の提示を求める方式を数週間のうちに正式採用するという。

このニュースを聞いた時に、最初は酷いことをするなと思ったのですが、良く考えてみたら今後日本でもこんなことをする企業がでてくるなと思いました。日本では、流石に「解雇」まではできませんが、「休業を命じる」ことはできそうな気がします。

(注)休業を命じる場合は、労働基準法第26条の規定により、平均賃金の6割を補償しなければなりません。

労働基準監督官を悩ます事業場側からの質問に次のようなものがあります。

「企業が年1回行う定期健康診断を受診しない労働者に対し、解雇等の懲罰を与えてよいか」

時々、確かにこのような労働者はいます。監督署に私が在籍した時に出会った女性の相談者は、「自分の体重等をなぜ会社の総務課が把握するんだ」と言って「健康診断の受診」を拒否していました。私が、「それでは、会社の健診ではなく社外の健診を受診して、(必要事項を記入した)健康診断書を産業医に渡してくれ」と説得しても、言うことを聞いてくれませんでした。

このような労働者に対し、企業は「処罰」できるのか。(これは私の個人の意見ですが)処罰は可能であると思います。「従業員の福利厚生」のために企業は健康診断を実施しているのに、それを受けないと労働者が処罰されることはおかしいと思う人もいるかもしれませんが、その理由は「事業者が労働者に健康診断を受診させなければ、それは犯罪行為(労働安全衛生法第66条違反、50万円以下の罰金)となる」からです。

もちろん、「企業は健康診断を行っているけど、特定の労働者だけ健康診断を受診しないだけなので、法違反とはならない」という考えもあるでしょうし、ストレスチェックのように企業が結果が分からない健診もあるのですから、このような労働者いてもかまわないという意見もあるでしょう。しかし、労働者が後日に健康を害し、「それが会社の過重労働のせいである」と訴えた時に、企業が健康診断を実施していないことは大きなマイナスとなります。そのようなことでトラブルとなった事件を私は知っています。

さて、企業にとって社員の健康確保というのは、本当に難しい問題です。特にワクチンの話では、前述の健康診断のように法に規定されていないので、判断基準がなく一層難しい判断を要すると思えます。

「ワクチンって、本当にコロナに打ち勝つの?」

「ワクチンって、本当に体に害がないの?」

という問題に100%の答えがまだ出ていません。(でも、8月15日現在のデータでは、重症化が防げるという結論はでているようです。)こんな時に企業は、自分の信ずることをするしかないでしょう。冒頭のアメリカの企業のように「他の従業員の健康を守るため、労働者個人の意見は無視する」といった決断も必要になるかもしれません。もちろん、それは後日に「裁判に負けたり」「株主総会で追及される」ということを覚悟の上でなされなければなりません。

そういう事業主の方に一言アドバイスします。どんな場合でも、次の社内手続きは守って下さい。

ひとつ目は、「産業医の意見を聴く」ということ

ふたつ目は、「労働安全衛生委員会で労働者側委員の話を聴いて、意見を検討する」ということです。

ワクチンの取扱いについては、現時点では「何がいいか?」「何が悪いか?」分からない訳ですから、後は企業の決断だけですが、上記の手続きは守って下さるようにお願いします。