(川崎市夢見ヶ崎動物公園のフラミンゴ、by T.M)
いつも写真を提供してくれている、T.M氏がなんとコロナ陽性となってしまいました。熱等はないそうです。早く良くなってね!
さて、今日も派遣労働の問題点についてです。先週、お話したように派遣職員の安全管理の件でなぜ現場で浮いてしまうのか、その構造的な理由を考えて見たいと思います。派遣職員が企業の安全管理組織からはじかれてしまう主な原因は、安全衛生委員会の労働者側委員の選出に参加できないことです。
安全衛生委員会とは従業員50人以上の企業がひと月に1回以上開催しなければならない、労働安全衛生に関係することを議題とした委員会です。
(注)業種によっては、安全衛生委員会ではなく衛生委員会となる。
この委員会は、事業場のトップである社長や工場長等が議長を努め、会社側委員と労働者側委員を同数として運営されます。労働者側委員としては過半数組合が存在するなら労働者側委員の選出については問題がありません。組合推薦の者を労働者側委員とすれば良いのです。
やっかいなのは、労働組合がない場合です。この場合は選挙で労働者代表を選出し、その人の推薦を受けた者が労働者側委員となります。この労働者代表を選出する選挙に、本来派遣労働者が加わらなければならないのに、ほとんどの企業では派遣労働者は加われません。
これは会社側が意識して意地悪をしているのではありません。勘違いされているケースも多いのです。
この、安全衛生委員会の労働者側委員を決める労働者代表は、時間外・休日労働協定(労働基準法36条により定められている協定なので36協定と呼ばれる)の労働者代表を兼任することが多いのですが、36協定の労働者代表選挙には派遣労働者は加われません。
つまり、会社側としては、労働者代表を選出しなければならない労働法関係の手続きとして、「①36協定の締結」、「②安全衛生委員会の労働側委員選出」の2つがあるんですが、多くの企業では、この2つの手続きの労働者代表を同一人物としてあります。そして、①については派遣労働者を含めてはいけなくて、②については派遣労働者は含めなればならないんです。そして、多くの企業が「労働者代表選出」みたいな面倒な手続きは1回ですませたいものなので、派遣社員を抜いて労働者代表を選出してしまうのです。
こんな状況ですから、労働の現場ではなかなか派遣労働者の意見は安全衛生委員会に反映されないので、先週お話した山上容疑者のような事件が起きてしまうものと考えます。
これ、派遣労働者にとっては結構重要な法違反だと思います。
また、「36協定の労働者代表」選挙を、派遣元が実施し、雇用する派遣労働者すべての意見を聴かなければならないのに事実上できません。従って、派遣労働者は実態として自分の労働時間についても、意見を言うことはできないのです。これは大きな問題なんで、また後日します。
来週は正月休みで更新しません。1月6日に歯根端切除という簡単な手術するので、1月8日も更新できません。
再開は1月15日からです。
それでは皆様、良いお年をお迎え下さい。T.M氏、早く良くなりますように。