
(ブダベスト、ユダヤ人街の古いアパート)
御来訪頂きありがとうございます。
仕事の都合により今月は更新を休みます。
再開は3月からです。
おばら労働安全衛生コンサルタントのブログ・元労働基準監督官の独り言
元労働基準監督官の独り言
(ブダベスト、ユダヤ人街の古いアパート)
御来訪頂きありがとうございます。
仕事の都合により今月は更新を休みます。
再開は3月からです。
(渋沢栄一生誕地の玄関深谷駅、by T.M)
疲れました・・・
今日はブログを書きません。当ブログにお出で下さった方には、まことに申し訳なく思い、謝罪します。
コロナ禍が一息ついたと思ったら、いきなり仕事が増えました。先週は、企業の安全診断書を2件仕上げました。普通は1件ひと月の猶予が与えられていますが、私は1週間以内に完成させます。でも、仕事を終えれば終えるほど、次の仕事が入ってきます。給料は歩合制でないので、いくら忙しくても変わりません。
63歳の身にとっては、好きな仕事で忙しいのはありがたいのですが、きつすぎます。来週は火曜日に3時間の法定講習の講師をした後に、水曜日に新潟まで日帰り出張です。その準備のため、今週の土日曜日はつぶれました。
来年あたり、常勤雇用から非常勤雇用になろうかと真剣に考えています。
私の兄、小原 巧(オバラ タクミ)が金曜日(6月25日)に、腎盂癌のため死去しました。享年66歳です。弟からみても早過ぎる別れだと思います。
生前、兄とご親交賜わった方々にご報告するとともに、故人に代わりまして生前のご厚誼に対し御礼申し上げます。
当ブログは今週及び来週を休載とします。再開は7月11日からです。
(松田町の桜、by T.M)
今回は前回の続きです。前回までの粗筋は前回(↓)を読んで下さい。
2つの労働局の「アジャイル開発」に関する見解がまったく違っているので困惑していた私ですが、「アジャイル開発における短時間派遣を否定したB労働局」が説明する時に使用した「一連の作業」という言葉の意味に気づきました。
(注) 「アジャイル開発」チームが同じ場所で一緒に働いてフラットなコミュニケーションを行うことについて、正式な呼び名は知りませんが、この記事の中では「ミーティング」と呼びます。
要するに、ミーティングの中で、「指揮命令」が完結するのなら、「ミーティングの時間のみの派遣労働」という概念は成立するが、ミーティング後もそこで話題になったソフトウェアの開発に従事するなら、「一連の作業」が継続されることなり、「時間単位の派遣」でなくなってしまうということです。なるほど、これはB労働局の見解が正しそうです。
そんなことを考えていたら、I氏から、「内閣府の成長戦略ワーキング・グループ」の議事録情報が送付されてきました。同議事録の18ページからが、アジャイル開発に関する記録ですので、興味があることはどうぞ一読下さい。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/seicho/20210225/gijiroku0225.pdf
(注)この議事録を読んで分かったことですが、「時間単位の派遣」でなく「完全派遣」とすることができないのは、やはり「知的所有権」の問題があるようです。
さて、この「偽装請負問題」ついて「時間単位の派遣」という案が、B労働局の説明により難しくなったので、I氏にどのような意見を述べようか考えていたのですが、そもそもなぜ「偽装請負」に厚生労働省がいけないのかというのか、原点に戻って考えることにしました。
労働基準法第六条に「何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない」とあります。「偽装請負」とは、本来直接雇用の労働者が受取るべき賃金を、間に入った事業場が「ピンハネ」(中間搾取)するからいけないのです。因みに、この条文の「法律に基づいて許される場合」とは「派遣法に基づく派遣」を指します。
中間搾取が一般化されると、多重請負の構図となり、最終的に労働者が低賃金ということになります。「福島県における除染作業で、東電が1日17000円の日当を支払っていたのに、多重請負が原因でピンハネされ、労働者には実際日当7000円しか支払われていなかった」という事件が数年前にも起こっています。
「アジャイル開発」を現在、推し進めようとしている方々は決して下請け労働者を搾取しようとは思っていないでしょう。また、「フラットなコミュニケーション」が使用従属関係になることは決してないと考えていないでしょう。
でも例えば、仮定として「アジャイル開発」については「偽装請負」については問題がないという結論が各行政機関からでたとしたら、必ずそれを悪用して「中間搾取」を企む輩がでてきます。厚生労働省はそれを恐れているのでしょう。
話は少しそれますが、「高度プロフェッショナル制度」という労働制度が2019年から実施されています。「働き方改革」の時に話題になりましたが、「高度な専門知識を有し、年間に1075万円以上の年収を得る労働者について、労働基準法に定める労働時間規制の対象から除外する仕組み」です。この制度は導入される時に色々な問題点が指摘されましたが、現在に至るまで、何か事件は発生していないようです(と私は理解しています)。どうやら「年収1075万円」という歯止めが事件発生を防いでいるようです。
世の中には、この「年収の壁」を「400万円に引き下げろ」と主張する経営者もいると聞きます。そういう経営者こそが「制度を悪用する者」と思えます。
さてアジャイル開発についてですが、「高プロ制度における年収1075万円の歯止め」のように、何か「歯止め」を設けることができないでしょうか。
労働行政に携わってきた者として言わせてもらえば、労働者に対し
が保証されていれば、例え外形が「偽装請負」であっても問題はない訳です。
(注)あと他に、「④ 危険作業がないこと」「⑤ 社会保険が確保されていること」が必要ですが、⑤については会社員なら当たり前のことですし、④についてはソフトウェア開発では、労災認定事案の原因が「長時間労働」「高ストレス」「人間関係」等ですので、通常の労災事故はあまりないと思いますので、ここでは省略します。
日本における「アジャイル開発」を促進させるためには、如何にこの形態がソフトウェア開発にとって有益かを訴えるだけでなく、旗振り役の企業側が前述の「歯止め」を厚生労働省に提示できる方が、同省が作成予定の「Q&A」を待っているより早いと思います(「Q&A」がいつになるか分かりませんし)。これが、今回の問題に関する私の結論です。
(秀吉の甥の秀次が築いた八幡堀・近江八幡市、by T.M)
明けましておめでとうございます。
新年に何か相応しい言葉はないかと思っていたら、次のようなものを見つけました。平成11年に茨城県東海村でおきた、株式会社JCOの「ウラン加工工場臨界事故」(2人死亡)の調査委員会報告書からの抜粋です。
A.安全性を向上させると効率が低下する
B.規制を強化すると創意工夫がなくなる
C.監視を強化すると士気が低下する
D.マニュアル化すると自主性を失う
E.フールプルーフは技能低下を招く
F.責任をキーパーソンに集中すると、集団はバラバラになる
G.責任を厳密にすると事故隠しが起こる
H.情報公開すると過度に保守的になる
長期的視野に立って、原子力行政を考えるとき、これらの矛盾を解決しなければ将来はない。
これを読んだ時に、「事故白書」なのに洒落たことを書くなと思いました。そして、改めて読み返してみると、原子力の問題だけでなく、現代社会のすべての事案について言えるのではないかと思いました。
あまりに効率を重視するとマニュアル化を消化するだけの労働者が増え、「労働」はいつしか、単純労働派遣が多勢を占め、その人達の賃金は上がらず、所得の格差はなくならない。
では、どうしたら良いか。私自身にその答えが見つかるような年になるといいのですが。