長時間労働規制の問題点(19)


(チューリップと八ヶ岳、by T.M)

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雑誌「労働安全衛生広報」に、私が寄稿した記事が掲載されました。労働安全衛生マネジメントシステムに関する雑文ですが、御興味のある方は、機会がありましたら、読んで見て下さい。
また、雑誌「日経ビジネス」の労働基準行政の特集記事に、数行ですが私のインタビュー記事が掲載されました。
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(前回ブログの続きを書きます。)
本当にどっかの団体が、私の「個別残業時間契約(36協定不要論)」を取り上げてくれないでしょうか。問題提起としては、絶対にいい案だと思います。

もっとも、こんな案が本当に本格的に議論されたとしたら、経営側と組合側の双方から叩かれると予測します。

まず、経営側は、「労働者のチームプレー」ができないことを指摘するでしょう。例えば、製造業や建設業のように、ひとつの仕事をチームとして行っているところは、工場ラインの操業や建築工事について、残業命令が出せなければ困ってしまいます。
(もっとも、ホワイトカラーや研究職といった人たちには、意外と歓迎される可能性もあります)

労働組合からは、もっとひどい反発を受けるでしょう。
何しろ、連合は
 「採用面接で、求職者に対し、残業が可能であるか尋ねる会社はブラック企業だ。」
と主張しているくらいです。
残業するかしないかの権限を、労働者個人に委ねるべきだなどと述べたら、怒られてしまいそうです。
(採用面接時のこの質問が全てNGであるとは思いません。採用後に長時間労働をさせるつもりで、企業がこの質問をすることはトンデモないことだと思いますが、色々な事情を抱えて求職する、主婦のパートタイマー等に対しては、当然の質問だと思います。)

さて、次回からは、長時間労働に係る、私の第2の提案を記載します。

長時間労働規制の問題点(20)


(ナノハナと甲斐駒ケ岳、by T.M)

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6月、7月は安全週間準備月間から安全週間へ向かう、労働安全衛生コンサルタントの稼ぎ時。お陰様で、去年は同時期に3本しか入ってなかった「安全講和の依頼」が今年は8本。そして、セミナー2本を予定しています。今年の講演依頼の特徴は、「長時間労働と労働衛生」について話してくれという要望が多いことです。これが世の流れのようです。
しかし、8月には1本も仕事が入っていません。頼まれていた原稿書きでもしてようかな。
明日の暮らしが見えない自営業の侘しさを感じています。
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(前回ブログの続きを書きます。)
私の長時間労働問題対策への第2番目の提言をします。
それは、監督署が事業場に対し、長時間労働が問題だとして是正勧告書を交付する場合は、「是正期間を最大1年程度の長期間」の余裕を見て欲しいということです。
現行では、多分「1ヶ月」程度の期間をもって、会社の労働時間の改善を求めていると思います。しかし、1ヶ月間では長時間労働体質の会社を劇的に変化させることはできません。

現在、労働局では、全社的な改善を求めることが目的で大企業の本社を狙って臨検監督を実施しているそうです。
しかし、本社の総務に是正勧告書を交付して、「貴社の長時間労働を何とかしろ」と指導しても、総務は困惑するばかりでしょう。なぜなら、大きな企業になればなるほど、総務は営業やら工場等の各部署に対し、監督署の指導前から「長時間労働をするな」という指示を出しているはずだからです。
総務が、それをしても、それまで長時間労働が無くならなかったということは、各部署で何かしらの理由があるということです。